「今、あなたはちょっと危険な恋にハマっていませんか?」
恋愛って、時に予想もしない形で、私たちの心に入り込んできます。
甘い瞬間がたくさんあって、気づいたらもう、その恋の沼にどっぷり浸かっている…そんな経験、ありませんか?
でも、その恋が禁断のものだったら?
最初こそ楽しいけれど、後になって「これでいいの?」なんて自問自答してしまうかもしれません。
この記事は、まさにそんな恋に落ちた若き日の私の話です。私は愛する人がいる幸せと、それに伴う苦しみを味わいました。あなたも今、既婚者の彼との関係に悩んでいるなら、このストーリーがほんの少し役立つかもしれません。
恋に夢中になるのは、決して悪いことではありません。でも、忘れないでほしいのは、その恋があなたの価値を下げるものでないこと。あなたの人生においてプラスになるかどうかを見極めてほしいのです。
もしあなたも「どうしたらいいの?」という気持ちが少しでもあるなら、私がどんな道を選んだのか、ぜひ読み進めてくださいね。
そして、自分の未来を見つめ直し、自立に向かって一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。
よしくんとの出会い
31歳で離婚し、遠く離れた場所から地元に戻ってきた私。間もなくして1人の男性と出会います。
彼の名前は、よしくん。7歳年上、38歳の建設業の2代目社長で、谷原章介に似たハンサムな男性でした。
出会いは、私をいつも可愛がってくれるお姉さんの仕事に同行させてもらった時のこと。
建設会社を訪れた際、階段から降りてきた社長を見たお姉さんが、
「ネコ子ちゃん、ここの社長かっこいいと思わない?」と興奮気味に言う。最初に彼にビビッときたのはお姉さん。
そして仕事を終えた後、彼は、車で駅まで送ってくれましたが、お姉さんは速攻で助手席を陣取り積極的にアプローチ。
この2人、既婚者同士なのに、と内心思いながら、後部座席で2人の会話を聞いていたら、
「ネコ子ちゃんは独身?」とバックミラー越しによしくんが聞いてきました。
いえ、私は子供が2人いるんです! と彼を突き放すようにキッパリと答えた。なんせ私はまだ離婚したばかり。それに既婚者だし、そういう対象にはならないと思ってたから。
「ネコ子ちゃんとまた会いたいから、電話番号を教えて」
なんとなく彼が私に興味を持っている?と思ったけど、お姉さんの気持ちを知っていたから、彼を完全に遮断。
しかし、よしくんその後も熱烈なアプローチ。好意を向けられれば、こちらも気になるもの。次第に心が揺れ始め、ついに彼と二人で食事に行くことになりました。
よしくんって、私より7歳も上で頭も良くて、エスコートも何もかも大人でカッコいいんだよね。
それからというもの私たちの関係は、急速に進展。彼は、頻繁にアパートを訪れるようになり、側から見ればまるで家族のように過ごしていました。娘たちにも優しく接してくれて。
こうなるとよしくんとの関係をお姉さんに打ち明けなきゃいけないわけで、おそるおそるお姉さんに伝えてみたら、拍子抜けするくらいあっさり。
「社長だって、若い子の方がいいだろうし、私のことなんか気にしなくていいから」と言ってくれた。
もう誰の気兼ねもなくよしくんと付き合えるようになった。
愛の狭間で揺れる心
でもね、本当の問題はお姉さんではなく、よしくんに家庭があること。
仕事が終わると、娘たちにお菓子を買ってアパートに来てくれる。「美味しいご飯をありがとう」と生活費を差し出す彼。
よしくんは精神的だけじゃなく、経済的にも私を支えてくれた。
気がつけば、月の半分以上、自宅に帰らず私のところに帰る生活。
ある時、いつもより早く帰ってきたよしくんと一緒に夕飯の支度をしていた時のこと。
彼が好きな餃子を作って食べながら、前から気になっていたことを聞いた。
よしくん、このままずっと付き合うつもり?私、ずっと不倫相手なの?
すると、よしくんは
「ネコ子、よく考えてみて。俺の奥さんより彼女の方が絶対いいよ。だって、好きな時だけ一緒にいればいいんだし、俺の世話とかややこしい問題とかないし。その方が幸せだよ」
私は何も言えず、ただ涙だけがポロポロとこぼれた。
最初は、好き同士で一緒にいるだけで幸せだった。でも、こんな幸せな生活も結局、秘密の関係でしかない。
何かあった時、彼には会えない。もしよしくんが死んだら、私は最後すら会えないんだよ?と心配を口にすると、「いや、勝手に殺すなよ」と彼は冗談で私をかわした。
私は彼が一番好きなのに、彼にとって私は二番目。そんなのフェアじゃない。
なんでよしくんは、そんなに割り切れるんだろう。
長い夫婦生活には、他の人を好きになることもあって不思議じゃない。
でも、だからと言って”はい、そうですか”と簡単に離婚できるほど、現実は甘くない。
それに、仮にそれができたとしても、好きな女ができたからといって簡単に家族を捨てる男を、果たして信用していいのだろうか。もし彼が私のためにすべてを捨てたとしても、次に捨てられるのは私かもしれない。そんな不安が私の胸を締めつけた。
「出会った順番が遅かっただけ」と自分に言い聞かせていたけれど、
彼に甘えるだけの、彼を待っているだけの、彼に不満を言うだけの自分にも、ほとほと嫌気がさしてくる。
「いつまでもよしくんがいるとは限らない。自分の生活は、自分で立て直さなきゃ。だって、よしくんは他の人の旦那さんだから」と、
派遣社員として働き始めたの。
「子供がまだ小さいんだし、家にいてパートでもすればいいんじゃない?」とよしくんはいつも通り優しく言ってくれたけれど、いつか突然会えなくなる日が来るかもしれないのに、彼に頼るだけの生活を続けるわけにはいかないと思っていたから。
相変わらず、優しいよしくんとは離れられなかったけれど、私は待つだけの存在より、少しずつでもいいから自分の人生をしっかりと歩む女性へと変わっていきたかった。
そんなある日、よしくんが「ネコ子ちゃん、今度一緒に神戸に行こう。デートしようよ」と誘ってくれた。
もうすぐクリスマス、付き合って1年半が経とうとしていた。「友達と旅行に行きたい」と母親に嘘をつき、娘たちを預かってもらった。
クリスマス間近の神戸の街は煌びやかで、街ゆく人々もみんな楽しそうだった。
デパートに着くと、よしくんは私をカルティエの店舗に連れて行き、「これ、どう思う?つけてみたら?」と「ラブリング」を手に取らせた。
これ、ずっとつけてて。俺も同じやつをつけるから
とよしくんは言い、カルティエのラブリングをプレゼントしてくれた。私は胸がいっぱいになった。
そして、彼が予約してくれたホテルは、神戸オリエンタルホテルの38階のスイートルーム。神戸100万ドルの夜景が一望できるその部屋で、私は彼と夢のような時間を過ごした。
30代のシングルマザーである私が、こんな贅沢な時間を過ごすなんて。
ありきたりな言葉だけど、私は本当に幸せだった。そして、この幸せがずっと続いて欲しいとすごく思ってた。
旅行が終わり、車の中でFMラジオから流れてきたDEENの「このまま君だけを奪い去りたい」をよしくんが口ずさみながら、「このままネコ子と一緒にいたいなぁ」と手を握ってきた時、このまま時間が止まればいいのになと。
もし、独身だったら一緒になれたのにって。
幸せに大きくなればなるほど、切なさがつのる。
このままではいけない、この幸せがいつか終わってしまうかもしれないという恐怖が、私を支配していた。
「好きだから、今一緒にいるだけじゃ、やっぱり寂しい」と感じる一方で、彼と会えなくなるのが怖くて「別れて」と言う勇気はなかった。いつかお別れが来るのは分かっている。だけど、その日が来るのが怖くてたまらなかった。
どうやっても手に入らないものほど、執着してしまうのはなぜだろう。
彼との未来がどうなるのか、私には全く見えなかったけれど、ただ一つ確かなのは、この不安定な状態はいつか終わりが来るということ。
終わりと新たな始まり
よしくんと付き合って3年が経ったある日、私は思い切ってよしくんに電話をかけた。
「ごめん、私、もうよしくんとは別れる。これからもずっと、不倫なんてしたくないの。気が狂いそうになるから…今までありがとう。」
私の言葉に対して、よしくんは何も言わなかった。ただ、電話越しの沈黙が重く感じられた。
本当は、ずっとよしくんと一緒にいたかった・・・・。
電話を切ると、彼からもらった指輪やネックレス、財布、鞄、そして旅行の写真までもすべて捨てた。
不倫は、私の神経をすり減らし、嫉妬や恨み、ドロドロした感情が渦巻いていた。彼と別れた後は、楽しかった事を思い出しては、悲しみと寂しさに包まれて、ひとりぼっちの布団のなかで泣いた。
よしくんとの3年間の関係は、私にとって感情のジェットコースターのような日々。彼と一緒にいるときは幸福感に包まれる一方で、ふと一人になると、心の中に渦巻く不安と孤独が襲ってくる。
だから、いつまでも彼に依存していてはいけない、そう強く思うようになった。
そして時間が経つにつれて、私は徐々に前を向くことができた。不毛な恋愛に費やしていた時間を、自分の成長に投資し始めたのだ。彼を思い出すヒマをなくすためにも。
彼と別れて2年が経つ頃には、私は大手企業の正社員として働くようになり、生活も徐々に安定していった。彼との別れが、結果私に自立を促し、新たな一歩を踏み出させてくれたことに、今は感謝している。
恋はまぼろし?不倫を断ち切った後の感情の変化
何年か前に、突然彼からLINEでメッセージが届いた。ブロックしていたはずの彼が、私の電話番号を持っていたため、LINEの友達候補に表示されたらしい。
彼から「一度ご飯でも行かないか?」と誘われた時、私は複雑な気持ちだった。
だって、あの別れの時、よしくんは私を選んでくれなかったから。
「やめとく。奥さんいるんでしょ?」と返信する私に、もう、いないんだ・・・・・。と
久々に会ったよしくんは、少し痩せていたが元気そう。38だった彼は、50を過ぎてた。私たちはふぐ料理を食べながら、会わない間のできごとをお互い話し始めた。
2年前、奥さんのがんが見つかったとき、もう手遅れだったらしい。そして、1年前に天国へ旅立ったことを聞いた。
私は、あの時別れて正解だったのかもしれない。あのまま付き合っていたとしても、彼は家庭を捨てなかっただろうし、結局は、私が捨てられてた。早かれ遅かれ、別れる運命だったと思うから。
「今日、泊まっていこうよ。」酔いが回ったよしくんが性懲りなくそう言って、助手席で私に寄りかかってきた。その日、私は彼に押し切られる形で、久しぶりに一緒に夜を過ごした。
彼は今や誰のものでもなく、私たちの関係は不倫じゃない。だけどあれほど望んだ自由の中で、もう彼に対する恋愛感情がなくなっていることに気づいたんだよね。
「私たち、イケナイ恋愛をしていたよね。間違っていたよね。今は奥さんに申し訳ないって思う。」と私が言うと、
でも、ネコ子のことは本当に好きだった。一時期、離婚も考えていたし。すごく好きだったから、気持ちを抑えることはできなかった。
男って勝手だね。大切な家族がいるのに、シングルマザーと不倫するなんて。
次いつ会える?って帰り際に彼に聞かれたけど、私は「ん〜〜わかんない。」とあいまいな返事だけした。
帰らないで!と泣き叫んだこともある。
やっぱり家族が大事なんでしょ!嘘つき!!と家に帰ろうとするよしくんの車を追いかけて、深夜の高速道路をカーチェイスしたこともある。
死んでもいいと思った。全部奥さんにぶちまけて、家庭を壊してやろうと思った。
それくらい、よしくんのことが好きだった。どうしても自分だけのものにしたかった。
それなのに、別れて冷静になったら、もう恋愛感情がなくなるもんなんだね。
考えてみれば、身勝手なのは彼だけではなく、私もだよね。
もしかしたら好きという気持ちは、案外長く続かないものなのかも。
それでも、これだけは言える。たくさん、たくさん泣いて誰からも祝福されないひみつの関係だったけど、とても幸せな思い出だらけだし、大事にしてもらったと思う。
結果的に、この別れが私に自立を促し、強くしてくれた。
彼には感謝しているけれど、もう彼を必要としていない。あの頃の何もできなかった私はもういないしね。
「ごめん、よしくん。もう、私にはあなたはいらない。」
だからもう、私の大切な思い出として、心にそっとしまっておくね。